活江戸焼うなぎ 旭亭
旭亭のはじまり
当店のはじまりは、先代が東京六本木で修行しうなぎ料理の技術を学びました。
その土地柄、皇族をはじめ大企業の邸宅も多く大使館などによく配達に行ったそうです。
親方は温厚な人柄で、当時は東京でも五本の指に入る名人と聞いております。
その後、昭和39年に奈良県宇陀市に創業し二代、修行中ではありますが三代と繋いでおります。
良い鰻の仕入れは生産者さんの顔を見る事から
料理は良い食材を集めることから始まります。
若い頃からうなぎ以外の仕入れを任され、その内に気が付きはじめます。
最初は卸先業者さんも良いものを卸します。
ただ時間が経てばその品質には波ができ、料理の品質を日々維持する事が難しくなります。
卸先業者さんにただ電話で注文するのではなく、
生産者さんや卸先業者さんの仕事場に行き、直接、顔を見ながら話し合う事の大切さを学びました。
着物にも柄があるように人にも柄があります。人柄を見る事で良い仕入れがはじまります。
焼きは一生
先代は変わり者で、私は18歳でうなぎを焼きはじめます。
鰻料理の世界では、長年下積みの修行があり最後に焼き場に立つ事ができます。
先代に焼けと言われたときは無理だと言ったのですが、横につくから焼きなさいと聞きませんでした。
最初は熱い上に痛い。一番苦しい仕事じゃないかと恨みもしましたが、そのうち技量が付いてくると、
もっと美味しく、もっと綺麗に、と探求をはじめました。
今では考えずに自然と体が動くようになり、
数をこなして一尾一尾の違いを体で覚えることが大事だと言っていた親父の言葉が分かりました。
今では感謝しかありません。
お客様の言葉に耳を傾ける
どんな仕事もそうですが、大変で辛いものです。
しかし、お客様が喜んでおられる顔やお褒めの言葉を頂くと疲れも吹き飛びもっと頑張ろうと気合が入ります。
北海道から旅の途中に立ち寄る方や、東京、横浜から定期的に通ってくださる方、
記念日やお祝いの席で予約してくれる方、
病気で闘病中の方や生前うなぎが好きで通われた方の法事など、
色々な方の物語が店にはたくさん詰まっています。
人と話をするのが大好きでお客様が気軽に話せる雰囲気があった
先代おかみの暖かさを受け継いでいることが私の一番の自慢です。
希少な木材で造り上げた暖かい店
当店のある宇陀市は三重県境にあり、真冬は氷点下5度ぐらいまで気温が下がります。
また古くから材木の街で今も銘木店がたくさん残ります。
寒空の中入って来られたお客様が、木の温もりと暖かさでほっとして頂くため奈良の銘木を集めました。
約400年の杉のテーブルは6台すべてが一本の杉からできており、
しかも地元から出た木ですので奇跡としか言いようがありません。
腰板は今は伐採できない春日杉、看板や棚板などは800年の古杉を使用。
衝立などに使われている欄間は江戸時代のもので
今では木のダイヤと言われる神代杉がふんだんに使われています。
けやき一枚板のカウンターは先代がわずか4日で作り上げました。
三回連続ミシュランガイドでビブグルマンを受賞
うなぎは旨味の乗った太く大きなものを3本の竹串で焼きます。
米(コシヒカリ、ベストファーマーズ受賞)と大和茶(無農薬)は
十四代つづく地元農家からお茶用の冷蔵庫で一年中管理されたものを選びます。
漬物は地元有機野菜を選び、北海道の根こぶと沖縄の海の塩で浅漬けや酢漬けにしています。
吸い物は北海道のこんぶと二種類のかつお節でだしを取る。
たまごは奈良の柳生の里で平飼い有精卵。たまご臭くなくコクと旨味の強いものを使用。
割り箸はうなぎと相性の良い吉野杉の香り高いものを。
これらの最高の食材は今まで以上に良いものを作ろうと毎日奮闘される生産者の皆様と
当店の望みを聞いてくれる目利きの問屋様のおかげで揃います。
その結果、2017年,2022年,2023年(今年5月)と奈良版ミシュランガイドでビブグルマンを連続受賞。
2017年から引き続き連続でビブグルマンを受賞することができました。
当店を支えてくださる皆様方に深く感謝申し上げます。